その「もの忘れ」、年齢のせいだけではないかもしれません
「最近もの忘れが多い気がする…」と感じて、ご自身の年齢のせいだと思われている方は少なくありません。しかし、その背景に治療可能な病気が隠れている場合もあります。病的なもの忘れは、多くの場合、他の症状と一緒にも現れます。
心配のいらない「加齢によるもの忘れ」と、注意が必要な「病的なもの忘れ」
加齢による自然なもの忘れ
体験したことの一部を忘れるヒントがあれば思い出せるもの忘れの自覚がある
注意が必要な病的なもの忘れ
体験したこと自体を忘れてしまうヒントがあっても思い出せないもの忘れの自覚がないことが多い
「もの忘れ」の症状が現れる主な病気
① 脳血管性認知症
アルツハイマー型認知症と並んで、非常に多く見られるタイプの認知症です。生活習慣病の管理が重要で、予防可能です。内服薬による薬物治療が主になりますが、脳外科手術をすることもあります。
② アルツハイマー型認知症
かつては有効な治療法がありませんでしたが、現在は症状の進行を緩やかにする薬に加え、病気の進行そのものを抑制する新しいタイプの治療薬も登場し、早期発見・早期治療がより一層重要になっています。
③ コルサコフ症候群
慢性アルコール中毒の患者さんにみられる認知症です。作り話などの症状もみられます。
④ 慢性硬膜下血腫
頭をぶつけたりした後、数週間しておこってくる進行性の物忘れです。簡単な脳外科手術により治癒します。
⑤ 脳腫瘍
手術により治る場合もありますが、腫瘍の種類や腫瘍の場所によります。
⑥ 水頭症
脳に水がたまる原因不明の病気です。手術により治る場合があります。
自己判断は禁物です。まずは一度、お気軽にご相談ください
もの忘れは、脳だけでなく全身の病気の一症状として現れる場合もあります。ご自身で「歳のせいだから」と判断せず、専門医による正確な診断を受けることが、ご自身の、そしてご家族の未来の安心に繋がります。
